調査部門に配属されて1年目の職員は、右も左もわからない状況で、毎日覚えることが多いと感じると思います。
そんな中でも、調査1年目の職員が意識しておくべきことを、私の独断と偏見を交えて話してみたいと思います。
起案は大変だけど、あまり囚われすぎてはいけない
調査の起案は、意外と時間がかかるものだと思います。
調査1年目の職員が、1人で完璧な起案を作成できると思わない方が良いです。
マニュアル的なものを一応は確認すべきですが、確認したとしても、気付けない部分が多く、1人で完璧なものはできないでしょう。
最初は1から10まで先輩などに聞いて、早く起案を提出すべきでしょう。
もちろん、気付けていないミスがあって、統括官から直しが入ります。
文章がわかりにくかったり、誤字脱字があったりで、決裁権者から赤ペンが入ります。
ですが、それはいちいち気にすべきではありません。不十分だった点は必ず自分でメモしておいて、2度と繰り返さないようにすれば良いのです。
もっと調査の中身に気を配りましょう。
事案を選定する
調査官として経験値を上げたければ、やはり不正のある事案を経験することが必要だと思います。
ですが、そもそも不正のある事案に出会わなければ、不正発見のしようがありません。
あなたが毎回のように、統括官から不正が見込まれそうな事案を交付されているのであれば、別に問題ありません。
署や部門によっては、十分な量の不正事案を確保することに困っていることもあるでしょう。
となれば、来るのを待っているだけでは、経験を積めません。
自ら、事案を見つけに行きましょう。
データの活用が進んできている現在でも、データ化しきれていない部分はあるはずです。
不正が見込まれる事案は、どこかに埋もれているはずです。
大事なのは、統括官任せではなく、自ら選定しに行くという意識を持つことです。
方法としては、とりあえず一件一件、中身を見て行くというのでもいいと思います。
なるべく、まだ誰も見ていないものや、他の人がまだやっていない視点・方法で見ることを意識しましょう。
これをすることで、結果的に選定できる事案が見つけられなかったとしても、さまざまな資料を目にすることになるので、それだけで経験値が貯まります。
先輩もわざわざ教えてくれないけど、知っておくべき知識を獲得するチャンスとなります。
もちろん、これをやるための時間の捻出は自分で工夫する必要があります。
始業時間前に毎日、20件見てみるとか、毎日少しずつの積み重ねをおすすめします。
質問応答記録書を作成すること
質問応答記録書を作成するチャンスを作りに行きましょう。
どの調査先でも質問応答記録書を作成する準備をしておく
調査官であれば、現場では、なるべくスムーズに質問応答記録書を作成したいと思うはずです。
調査1年目で経験が浅ければ、なおさら現場でぎこちない動きをしたくないと思うでしょう。
気持ちの準備ができていなければ、不正を発見したその場で作成できません。日を改めて、作成するのでは、調査官としてはダメだと思います(場合にもよるとは思いますが)。
ここで新人調査官として抑えておくべきポイントは、日を改めた場合、上司(統括官)の心境としては、「新人に一人でやらせるよりも、どうせなら経験豊富な先輩に同行させて、完成度の高い質問応答記録書を作成させよう」と思うはずです。
新人の立場として、先輩に同行してもらったら何かいけないのか?
不正を発見したその日に、その場で、一人で作成するという経験を逃してしまうことが良くないのです。
先輩が同行すれば、自分が質問や文章を頭で考えることがほとんどなくなってしまうこともあります。先輩も失敗したくないので、「黙って横で見ておけ」的な放置状態になる可能性が高いです。
結果的に自分の経験値が上がりません。
準備のしかた
準備の仕方としては、調査先に行く前に、無理矢理でも良いので不正の内容を想定し、ある程度の台本を作成しておくのも一つです。
結果的に、不正の内容が全く想定と違い、台本がカスリもしなかったとしても、1度台本を作成してみることで、質問応答記録書を作成するという作業に脳ミソが慣れるので、一定の効果はあると思います。
特に内容よりも、その他の細かいお作法的な部分は忘れがちなので、一通りの作成過程を、実際に手を動かしてやってみることが大事です。
正直、調査1年目の職員が質問応答記録書をそれなりの完成度で作成して調査から帰ってきたら、2年目、3年目の先輩たちは、内心ビビっていると思います。実際、調査3年目の職員でも、質問応答記録書をまともに作成した経験が無い人は普通にいます。そもそも、作成すべき事案に出会わなければ、作成する経験が積めないからです。
先程述べた、起案でミスが多いとか、上手くサクサク起案をできないというのは、この質問応答記録書を作成できていないということに比べれば、本当にどうでも良いことです。
少なくとも、若手職員同士が、お互のレベル感を意識する時には、起案の作成の上手さなんてどうでも良くて(言い過ぎかもしれませんが)、質問応答記録書を作成した経験や不正を発見した経験がどれだけあるかの方が、よっぽど重要です。
特調班への配属は意外と早い
これまで述べたことを意識して行っていれば、何年か後に特調班に配属される可能性は高くなるでしょう。
特調班に配属になる時期というのは、意外と早くやってきます。
調査1年目の職員からすれば、まだまだ先の話だと感じるかもしれません。
ですが、毎日調査事務に忙殺されていると、体感的にはすぐに、その日はやってきます。
その時に質問応答記録書を作成した経験が無いと、不安を感じると思います。