この記事では、新人職員や、国税専門官、国税職員に合格した方向けに、読んでおくと良い本を紹介していきます。
個人課税部門向き
まず、個人課税部門を希望する職員に向けて、おすすめしたい本を紹介します。
個人課税部門を希望しない職員にとっても、所得税や個人住民税の知識は、これからの人生で理解しておいた方が良いものです。
例えば寄附金控除、住宅ローン控除、株式の申告に関することなど。
財テク的な観点から、知っていると知らないでは、自身の資産形成においても大きなインパクトがあります。
実務書
所得税・個人住民税ガイドブック
この本は、所得税の確定申告の時期に持ち歩きたい本です。大体のことが網羅されており、住民税や事業税についても必要になりそうな知識は全て書かれています。
質問されて即答できないことも、この本を見れば書いてあることが多いです。
質問する方は、所得税だけでなく住民税についても同時に確認したい場合が多いので、住民税もセットになっているこの本があると安心です。
また、仕事の面以外でも、個人的に節税策を考える時には、住民税などの地方税の理解が必要なので、財テク的な面でもとても役に立ちました。
根拠条文までは書かれていない場合でも、大事なポイントについては大体言及がされていました。
医療費控除と住宅借入金等特別控除の手引
住宅ローン控除は毎年のように制度が変わり、しかも段々複雑になっていると感じますので、所得税確定申告の時期を向かえる前に、一度目を通しておきたいものです。
個人課税の新人職員の方にとっては、住宅ローン控除(ローン型以外についても)についての理解がとても重要だと思います。そして、一度全てを網羅的に学習しないと、なかなか理解が進まないと思います。この本の一問一答を全て読んで理解すれば、おそらく大失敗はしなくなると思います。
私はこの本をきちんと読むまでは、何度研修を受講しても、住宅ローン控除を理解できた気がしませんでした。
消費税簡易課税事例による業種区分の手引
簡易課税が関係してくる場合には、業種区分が本当にそれで良いのか、必ず立ち止まって考えたほうが良いです。
この本は古い本ですので、改正がある部分については注意が必要ですが、大事なことが良くまとまっていたのでオススメです。
頭で分かっているつもりでも、一度この本のインデックスを見て、該当しそうなページには目を通すべきです。
保険税務のすべて
個人課税部門においては、主に一時所得の部分で関わりが深い本だと思います。
保険に関する税金は、保険商品が様々ですから、課税の仕方も様々です。
新人職員の方は、思っている以上にたくさんのパターンがありますので、「知らなかった」でミスをしないように、一度全ページに目を通しておくことをオススメします。
一度読んだことがあるかどうかで大きく違います。
また、この本は節税や財テク的な観点からも、一度読んでおいて損はないと思います。
とても分厚く、ページ数が多いですが、その分きっちり大事なことがたくさん書いてあります。
実務書以外
国税局直轄トクチョウの事件簿 脱税をどう見抜き、暴くのか
調査選定の部分で、とても参考になりました。もちろん、実務でまったく同じ選定方法が使えるケースはないと思いますが、それでも、発想の持ち方、考え方の面で、とても参考になりました。
この本を読んで、特調班を希望したいと思った方は向いているかもしれません(おそらく、本には書かれていない大変さがいろいろありますが)。
法人課税部門向き
法人課税部門を希望する職員向けのオススメ本を紹介します。もちろん、以下で紹介する以外にも、読むべき本はたくさんあると思います。
法人税法基本通達逐条解説
課税の仕方で悩んだときは、この本の該当する部分に必ず目を通しておくべきです。
税理士の方の多くは、この本を確認し、「本当にその課税が正しいのか?」を確認しているはずです。
データベース化したサービスを利用して、その場で検索し、逐条解説を確認している税理士の方もいらっしゃいます。
調査現場で指摘する際には、分かっているつもりでも、念のため確認することが大事です。
資産課税部門向き
資産課税部門を希望する職員向けのオススメ本を紹介します。
Q&A241問 相続税 小規模宅地等の特例 令和年6度版
相続税申告では、小規模宅地の特例を使われていることがとても多く、ぜひこの本を読んで、制度についての理解を深めておきたいところです。
保険税務のすべて
保険に関する税金は、金額も大きい場合があり、課税の仕方を間違えると割とインパクトが大きいです。
そして、保険は様々な商品があり、課税の仕方も様々です。資産課税の方は、一度全ページに目を通しておくことをオススメします。
一度読んだことがあるかどうかで大きく違います。
査察部を目指す職員向き
査察官を希望する職員向けのオススメ本を紹介します。
実務書
特に実務書は思いつきませんでした。
所得税・法人税・相続税等の多くの税目を扱うことがあるので、必要が出たら、どの税目でも理解していく気持ちが必要です。
実務書以外
国税局査察部24時
小説的に書かれていましたので、現実の査察部の仕事と全てが一致しているとは限りませんが、査察官としての気の持ち方の部分で、とても良く表現されていると思いました。
この本を読んで査察官を目指したくなった方は、査察官に向いているかもしれません。
資料調査課を目指す職員向き
ここでは、資料調査課を目指す方や、異動で希望しようか迷っている方にぜひ読んでもらいたい本を紹介します。
国税局資料調査課
私はこの本を読んで、料調を経験してみたいと思いました。
もちろん、話の舞台となっている時代も違えば、実務書では無いので、必ずしも全てをそのまま参考にすべきではないかもしれませんが、資料調査課の仕事の雰囲気はとても良く表現されていると感じました。
この本を読んでワクワクできる方であれば、資料調査課を希望してみると良いと思います。
ITスキル編
次に、国税職員にオススメするITスキル関連の本をオススメします。
ExcelVBAのスキル
ここでは、ExcelVBAに関連した本を紹介します。
国税の職場では、Excelをとても良く使います。
Excel>Word>メールソフト>PowerPoint くらいの感じです。もちろん、部署によっては異なるかもしれませんが、新人職員の内は、Excelを使う機会が多いと思います。
国税職員になる方以外でも、ExcelVBAを学ぶ方にはオススメの本です。
ExcelVBAを使えるようになると、内部事務の繰り返し作業を超効率化できます。また、調査事務で膨大なデータ量を扱う際にも役立ちます。
以下の本は私がVBA関連の本を何冊も購入した中で、もっとも役に立った本です。
今日から使える Excelマクロ&VBA 2016/2013/2010/2007対応
まず、VBAの基本的な知識を習得するために、この本を読むと良いです。初心者がマスターしておくべき基本的な構文などが見やすくまとめられています。
中級レベルになってからも、時々見返したくなるくらい、見やすく、理解しやすく書かれているのでオススメです。
初心者は基本的な構文をひと通り理解するところでつまづきやすいですが、この本では基本的な構文がカラーで分かりやすく解説してあり、視覚的に理解しやすく書かれています。私はスッと頭に入ってくる感じでしたので、オススメです。
ExcelVBAを実務で使い倒す技術
この本は、ひと通りの基本的なVBA構文をマスターしたあとに読むと良いです。もしくは、同時並行で読むとさらにつまづきにくいかもしれません。
この本は、実際にExcel上でVBAのコードをどのように書いていくのかを、操作方法などを分かりやすく書いてあります。
また、エラーメッセージが出た時の対処の仕方もとても分かりやすく、しかも必要なことは大体書いてありました。私はこの本で、エラーメッセージが出ても、柔軟に対処できるようになりました(初心者は大体、エラーメッセージの対処ができずにつまづくので…)。
そしてこの本も、カラーで、視覚的に見やすく、頭にスッと入ってくる感じでした。
必要なことがとても良くまとまっており、私はこの一冊を読んで、実際に仕事でExcelVBAの自動実行プログラムなどを作れるようになりました。
データ取得スキル
基礎から学ぶデジタル・フォレンジック: 入門から実務での対応まで
私はパソコンというか、ICTについての理解を深める上でとても役に立った本です。ただ、この本はパソコンに自信が無い人には、あまりおすすめできません。
例えば、自分でパソコンのHDDをSSDに交換したりできるレベルの方であれば、読んでみると、とても面白いと思います。
パソコンについての理解がさらに深まりますし、将来、ICTの方向でも専門的になろうと思う方にはぜひ読んでおいてもらいたい本です。
この本に書いてあることを理解しているかどうかで、パソコン等を扱う現場での自信は全然違うと思います。