小売業などで、お客様が5万円以上のクレジット決済やデビットカード決済をした場合、収入印紙の貼付は必要なのでしょうか?
注意:
本記事内では、5万円未満の受取書であれば非課税であることについては、記載を省略しています。
クレジットカード決済の場合
国税庁によると、下記の引用文とおり、クレジット決済の場合は原則、印紙の貼付は不要であるとのことです。
ただし、領収書を交付する場合に、クレジットカード利用である旨を記載しておく必要がある点には注意が必要です。
具体的には、交付する領収書に
- 「クレジットカード利用」
- 「クレジットカード決済」
- 「クレジットカード払い」
などの文言を記載して、クレジットカード利用であることが分かるようにしておきましょう。
クレジット販売の場合の領収書
【照会要旨】
当社では、クレジットカードで買物をしたお客様に、クレジット利用伝票(お客様控)のほか、お客様の要望により、領収書を作成交付しています。この領収書には、印紙を貼付する必要があるのでしょうか。
【回答要旨】
第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)は、金銭又は有価証券の受領事実を証明する目的で作成されるものです。ご質問のように、クレジット販売の場合には、信用取引により商品を引き渡すものであり、その際の領収書であっても金銭又は有価証券の受領事実がありませんから、表題が「領収書」となっていても、第17号の1文書には該当しません。
出典:国税庁
したがって、この領収書には印紙を貼付する必要はありません。
なお、クレジットカード利用の場合であっても、その旨を「領収書」に記載しないと、第17号の1文書に該当することになります。
デビットカード決済の場合
国税庁の質疑応答事例の「デビットカード取引(即時決済型)に係る「口座引落確認書」及び「領収書(レシート)」」によると、デビットカード決済でも「即時決済型」と「信用取引型」でその判断は分かれます。
国税庁の質疑応答事例にありますが、デビットカード取引には、即時決済型のデビットカード取引のほか、クレジットカード決済のシステムを利用する信用取引型のデビットカード取引があります。
両者の違いは、国税庁によると以下の通りです。
印紙貼付の要否は次のとおりです。
即時決済型のデビットカード決済の場合
即時決済型のデビットカード決済の場合、作成・交付する領収書は、販売代金の受領事実を証明するために作成・交付していると認められますので、印紙の貼付が必要です。
クレジットカード決済のシステムを利用する信用取引型のデビットカード決済の場合
信用取引型のデビットカード決済の場合、クレジットカード決済の場合と同じで、領収書には印紙の貼付は不要です。
なお、「デビットカード決済(信用取引型)」などと、クレジットカード利用等である旨を領収書に記載する必要があります。
デビットカードの即時決済型と信用取引型を見分ける方法
決済端末の側で何か表示が出ない限り、「即時決済型」どうかを見分けることは難しいと思われます。
「即時決済型」かどうかに関わらず、決済事業者から加盟店側への支払いは後日となるため、顧客からの決済時に判断することは難しいでしょう。
「口座引落確認書」については印紙の貼付不要
「口座引落確認書」とは、加盟店が顧客に交付するもので、顧客の銀行口座から支払代金が引き落とされた事実を確認するためのものです。
この「口座引落確認書」については、印紙の貼付が不要です。
なお、「口座引落確認書」と「領収書」が1通にまとめて記載されている場合には、これは単に口座からの引落し事実を顧客に通知するだけではなく、併せて販売代金の受領事実を証明していると認められるため印紙の貼付が必要です。
コード決済の場合
コード決済の場合、印紙貼付の要否の判断はさらに難しいと思われます。
経済産業省より、「コード決済を行った際に作成される領収書等の印紙税における取扱いについて」という文書で、判断の難しさについて言及され、国税庁から質疑応答事例が出されていますが、結論として、加盟店側で印紙貼付の要否を判断することは非常に困難だと思われます。
pay払いの中には、消費者のスマホ側で「即時払い」と「後払い」を支払の都度、自由に切り替えが可能なものもあり、もはや加盟店側で決済時に完全に把握することは不可能なのではないかと思われます。
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