被相続人の所有していた建物・土地を相続し、相続後に建物を取り壊した後、更地となった土地を売却した場合の税金(夫婦の老人ホーム入所が同日の場合)

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被相続人の所有していた不動産を相続し、売却した場合の税金について解説します。
今回は特に、被相続人夫婦の老人ホーム入所が同日だった場合に焦点をあてて確認します。

今回の設例の前提条件

今回の設例の前提条件は以下のとおりです。この場合、次男が負担する税金がどの様になるのか解説します。

  • 被相続人の居住していた建物及び土地の取得価額は不明
  • 被相続人は2018年から2022年に亡くなるまで老人ホームに入居しており、自宅には居住していませんでした。
  • 被相続人及びその配偶者は共に、2018年の同日に老人ホームに入所しました。またその直前までは共に自宅に住んでいました。
  • 次男が相続後、建物を取り壊して更地にし、その更地を2024年中に売却しました。
  • 更地の売却価額は600万円でした。
  • 建物の取り壊しにかかった費用は150万円でした。
  • 被相続人の配偶者と長男は相続放棄しており、相続財産は全て次男が相続しました。
  • 相続財産の総額は3,000万円以下であり、相続税は発生していません。
  • 土地を売却したのは令和6年中です。
  • 被相続人は2022年中に亡くなりました。
  • 土地売却のための仲介手数料が195,000円かかりました。
  • 土地の売買契約書作成による収入印紙代が5,000円かかりました。

結論

詳細な思考過程は後ほど記述しますが、まず結論としてどのような課税が発生するのかを説明します。

設例より、

  • 土地の譲渡価額が600万円。
  • 被相続人の土地の取得費が不明なため、概算取得費特例を適用して譲渡価額600万円の5%の30万円を土地の取得費とします。
  • 建物の取り壊し費用が150万円。
  • 土地売却のための仲介手数料が195,000円。
  • 収入印紙代が5,000円。

以上より、計算式等は以下のとおりとなります。

所得税の課税

(1)課税長期譲渡所得金額の計算

売却価額ー(概算取得費+取り壊し費用+仲介手数料+印紙代)=課税長期譲渡所得金額
600万円-(30万円+150万円+195,000円+5,000円)=400万円

(2)税額の計算

イ 所得税

課税長期譲渡所得金額 ✕ 税率 = 所得税
400万円×15%=60万円

ロ 復興特別所得税

所得税 ✕ 税率 = 復興特別所得税
60万円×2.1%=12,600円

住民税の課税

課税長期譲渡所得金額 ✕ 税率 = 住民税
400万円×5%=20万円

不動産取得税の課税

相続によって取得した不動産には、不動産取得税はかかりません。

思考過程の解説

前述した結果に至るまでの思考過程について解説します。

所得税について

所得税の課税については、まず土地の譲渡は譲渡所得に該当します。

譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

税率については、所有期間が5年を超えるので長期譲渡所得に該当します。長期譲渡所得に対する所得税の税率は15%となります(さらに、この15%部分に復興特別所得税が2.1%かかります)。

取得費について

取得費は、土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額です。
今回の設例では、土地の購入金額が不明であるため、概算取得費の特例を使い、売却価格の5%(30万円)を取得費とします。

売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、買い入れた時期が古いなど、取得費が分からない場合には、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。

また、実際の取得費が売った金額の5パーセント相当額を下回る場合も、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。

例えば、土地建物を3,000万円で売った場合に取得費が不明のときは、売った金額の5パーセント相当額である150万円を取得費とすることができます。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm

仲介手数料、取り壊し費用、収入印紙代は譲渡費用として差し引く

以下のものは譲渡費用として、長期譲渡所得を算出する上で差し引くことができます。

  • 土地を売るために支払った仲介手数料
  • 土地を売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用
  • 印紙税で売主が負担したもの

なお、土地や建物の固定資産税は譲渡費用になりません。

「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡したときの特例」が使えないことについて

長期譲渡所得の額を算出をする上で、「特別控除」の額を差し引くことができる場合があります。今回の場合は「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡したときの特例」を適用できそうに見えますが、結論としては、この特例を使えません。

被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡したときの特例とは

まず「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡したときの特例」の概要について説明します。

この特例は、長期譲渡所得の額を算出するうえで、最大3,000万円まで差し引くことができ、納税者にとってメリットのある制度です。

特例を適用するための条件

しかし、この特例を適用するためにはいくつかの条件があり、その一つに、「老人ホームに入居する直前において、自宅に被相続人以外の居住者がいないこと」という条件があります。簡単に言えば、入居前日の時点で被相続人が自宅で一人暮らしをしている必要があります。

今回の設例では、この条件をクリアできないため、特例の適用ができないのです。
理由をもう少し詳しく説明すると、被相続人及びその配偶者が同日に老人ホームに入所しているため、被相続人が老人ホームに入居する直前(=入居の前日)には、自宅で配偶者と同居しています(=自宅に被相続人以外の居住者が存在します)。
そのため、「老人ホームに入居する直前において、自宅に被相続人以外の居住者がいないこと」という条件がクリアできません。

もし、配偶者の方が1日でも先に老人ホームに入所していれば、特例を適用できる余地はあると思いますので、所轄の税務署などに確認してみると良いでしょう。

参考として、根拠条文の抜粋を以下に記載しておきます。

租税特別措置法第35条5項3号

 当該相続の開始の直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかつたこと(当該被相続人の当該居住の用に供されていた家屋が対象従前居住の用に供されていた家屋である場合には、当該特定事由により当該家屋が居住の用に供されなくなる直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかつたこと。)。

引用元:e-Gov法令検索

個人の有する資産が、居住用財産を譲渡した場合に該当することとなつた場合には、その年中にその該当することとなつた全部の資産の譲渡に対する第三十一条又は第三十二条の規定の適用については、次に定めるところによる。

 第三十一条第一項中「長期譲渡所得の金額(」とあるのは、「長期譲渡所得の金額から三千万円(長期譲渡所得の金額のうち第三十五条第一項の規定に該当する資産の譲渡に係る部分の金額が三千万円に満たない場合には当該資産の譲渡に係る部分の金額とし、同項第二号の規定により読み替えられた第三十二条第一項の規定の適用を受ける場合には三千万円から同項の規定により控除される金額を控除した金額と当該資産の譲渡に係る部分の金額とのいずれか低い金額とする。)を控除した金額(」とする。

 第三十二条第一項中「短期譲渡所得の金額(」とあるのは、「短期譲渡所得の金額から三千万円(短期譲渡所得の金額のうち第三十五条第一項の規定に該当する資産の譲渡に係る部分の金額が三千万円に満たない場合には、当該資産の譲渡に係る部分の金額)を控除した金額(」とする。

 前項に規定する居住用財産を譲渡した場合とは、次に掲げる場合(当該個人がその年の前年又は前々年において既に同項(次項の規定により適用する場合を除く。)又は第三十六条の二、第三十六条の五、第四十一条の五若しくは第四十一条の五の二の規定の適用を受けている場合を除く。)をいう。

 その居住の用に供している家屋で政令で定めるもの(以下この項において「居住用家屋」という。)の譲渡(当該個人の配偶者その他の当該個人と政令で定める特別の関係がある者に対してするもの及び所得税法第五十八条の規定又は第三十三条から第三十三条の四まで、第三十七条、第三十七条の四若しくは第三十七条の八の規定の適用を受けるものを除く。以下この項及び次項において同じ。)又は居住用家屋とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは当該土地の上に存する権利の譲渡(譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含む。以下この項及び次項において同じ。)をした場合

 災害により滅失した居住用家屋の敷地の用に供されていた土地若しくは当該土地の上に存する権利の譲渡又は居住用家屋で当該個人の居住の用に供されなくなつたものの譲渡若しくは居住用家屋で当該個人の居住の用に供されなくなつたものとともにするその敷地の用に供されている土地若しくは当該土地の上に存する権利の譲渡を、これらの居住用家屋が当該個人の居住の用に供されなくなつた日から同日以後三年を経過する日の属する年の十二月三十一日までの間にした場合

 相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下第六項までにおいて同じ。)による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人(包括受遺者を含む。以下この項及び次項において同じ。)が、平成二十八年四月一日から令和九年十二月三十一日までの間に、次に掲げる譲渡(当該相続の開始があつた日から同日以後三年を経過する日の属する年の十二月三十一日までの間にしたものに限るものとし、第三十九条の規定の適用を受けるもの及びその譲渡の対価の額が一億円を超えるものを除く。以下この条において「対象譲渡」という。)をした場合(当該相続人が既に当該相続又は遺贈に係る当該被相続人居住用家屋又は当該被相続人居住用家屋の敷地等の対象譲渡についてこの項の規定の適用を受けている場合を除き、第三号に掲げる譲渡をした場合にあつては、当該譲渡の時から当該譲渡の日の属する年の翌年二月十五日までの間に、当該被相続人居住用家屋が耐震基準(地震に対する安全性に係る規定又は基準として政令で定めるものをいう。第一号ロにおいて同じ。)に適合することとなつた場合又は当該被相続人居住用家屋の全部の取壊し若しくは除却がされ、若しくはその全部が滅失をした場合に限る。)には、第一項に規定する居住用財産を譲渡した場合に該当するものとみなして、同項の規定を適用する。

 当該相続若しくは遺贈により取得をした被相続人居住用家屋(当該相続の時後に当該被相続人居住用家屋につき行われた増築、改築(当該被相続人居住用家屋の全部の取壊し又は除却をした後にするもの及びその全部が滅失をした後にするものを除く。)、修繕又は模様替(第三号において「増改築等」という。)に係る部分を含むものとし、次に掲げる要件を満たすものに限る。以下この号において同じ。)の政令で定める部分の譲渡又は当該被相続人居住用家屋とともにする当該相続若しくは遺贈により取得をした被相続人居住用家屋の敷地等(イに掲げる要件を満たすものに限る。)の政令で定める部分の譲渡

 当該相続の時から当該譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

 当該譲渡の時において耐震基準に適合するものであること。

 当該相続又は遺贈により取得をした被相続人居住用家屋(イに掲げる要件を満たすものに限る。)の全部の取壊し若しくは除却をした後又はその全部が滅失をした後における当該相続又は遺贈により取得をした被相続人居住用家屋の敷地等(ロ及びハに掲げる要件を満たすものに限る。)の政令で定める部分の譲渡

 当該相続の時から当該取壊し、除却又は滅失の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

 当該相続の時から当該譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。

 当該取壊し、除却又は滅失の時から当該譲渡の時まで建物又は構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。

 当該相続若しくは遺贈により取得をした被相続人居住用家屋(当該相続の時後に当該被相続人居住用家屋につき行われた増改築等に係る部分を含むものとし、当該相続の時から当該譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないものに限る。以下この号において同じ。)の政令で定める部分の譲渡又は当該被相続人居住用家屋とともにする当該相続若しくは遺贈により取得をした被相続人居住用家屋の敷地等(当該相続の時から当該譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないものに限る。)の政令で定める部分の譲渡(これらの譲渡のうち第一号に掲げる譲渡に該当するものを除く。)

 前項の場合において、当該相続又は遺贈による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人の数が三人以上であるときにおける第一項の規定の適用については、同項第一号中「三千万円(」とあるのは「二千万円(第三十五条第二項各号に掲げる場合に該当して同条第一項の規定の適用を受ける場合には、三千万円の範囲内において、政令で定めるところにより計算した金額。以下この項において同じ。)(」と、「三千万円に」とあるのは「二千万円に」と、「三千万円から」とあるのは「二千万円から」と、同項第二号中「三千万円(」とあるのは「二千万円(第三十五条第二項各号に掲げる場合に該当して同条第一項の規定の適用を受ける場合には、三千万円の範囲内において、政令で定めるところにより計算した金額。以下この項において同じ。)(」と、「三千万円に」とあるのは「二千万円に」とする。

 前二項及び次項に規定する被相続人居住用家屋とは、当該相続の開始の直前において当該相続又は遺贈に係る被相続人(包括遺贈者を含む。以下この項及び次項において同じ。)の居住の用(居住の用に供することができない事由として政令で定める事由(以下この項及び次項において「特定事由」という。)により当該相続の開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていなかつた場合(政令で定める要件を満たす場合に限る。)における当該特定事由により居住の用に供されなくなる直前の当該被相続人の居住の用(第三号において「対象従前居住の用」という。)を含む。)に供されていた家屋(次に掲げる要件を満たすものに限る。)で政令で定めるものをいい、前二項及び次項に規定する被相続人居住用家屋の敷地等とは、当該相続の開始の直前において当該被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地として政令で定めるもの又は当該土地の上に存する権利をいう。

 昭和五十六年五月三十一日以前に建築されたこと。

 建物の区分所有等に関する法律第一条の規定に該当する建物でないこと。

 当該相続の開始の直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかつたこと(当該被相続人の当該居住の用に供されていた家屋が対象従前居住の用に供されていた家屋である場合には、当該特定事由により当該家屋が居住の用に供されなくなる直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかつたこと。)

 第三項の規定は、当該相続又は遺贈による被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人(包括受遺者を含む。次項から第九項までにおいて「居住用家屋取得相続人」という。)が、当該相続の時から第三項の規定の適用を受ける者の対象譲渡をした日の属する年の十二月三十一日までの間に、当該対象譲渡をした資産と当該相続の開始の直前において一体として当該被相続人の居住の用(特定事由により当該被相続人居住用家屋が当該相続の開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていなかつた場合(前項に規定する政令で定める要件を満たす場合に限る。)には、政令で定める用途)に供されていた家屋(当該相続の時後に当該家屋につき行われた増築、改築(当該家屋の全部の取壊し又は除却をした後にするもの及びその全部が滅失をした後にするものを除く。)、修繕又は模様替に係る部分を含む。)で政令で定めるもの又は当該家屋の敷地の用に供されていた土地として政令で定めるもの若しくは当該土地の上に存する権利(次項において「対象譲渡資産一体家屋等」という。)の譲渡(譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含み、第三十三条の四第一項に規定する収用交換等による譲渡その他の政令で定める譲渡(次項において「収用交換等による譲渡」という。)を除く。以下この条において「適用前譲渡」という。)をしている場合において、当該適用前譲渡に係る対価の額と当該対象譲渡に係る対価の額との合計額が一億円を超えることとなるときは、適用しない。

 第三項の規定は、居住用家屋取得相続人が、同項の規定の適用を受ける者の対象譲渡をした日の属する年の翌年一月一日から当該対象譲渡をした日以後三年を経過する日の属する年の十二月三十一日までの間に、対象譲渡資産一体家屋等の譲渡(譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含み、収用交換等による譲渡を除く。以下この条において「適用後譲渡」という。)をした場合において、当該適用後譲渡に係る対価の額と当該対象譲渡に係る対価の額(適用前譲渡がある場合には、前項の合計額)との合計額が一億円を超えることとなつたときは、適用しない。

 第三項の規定の適用を受けようとする者は、他の居住用家屋取得相続人に対し、対象譲渡をした旨、対象譲渡をした日その他参考となるべき事項の通知をしなければならない。この場合において、当該通知を受けた居住用家屋取得相続人で適用前譲渡をしている者は当該通知を受けた後遅滞なく、当該通知を受けた居住用家屋取得相続人で適用後譲渡をした者は当該適用後譲渡をした後遅滞なく、それぞれ、当該通知をした者に対し、その譲渡をした旨、その譲渡をした日、その譲渡の対価の額その他参考となるべき事項の通知をしなければならない。

 対象譲渡につき第三項の規定の適用を受けている者は、第七項の規定に該当することとなつた場合には、居住用家屋取得相続人がその該当することとなつた適用後譲渡をした日から四月を経過する日までに当該対象譲渡をした日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し、かつ、当該期限内に当該申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならない。

10 前項の規定に該当する場合において、修正申告書の提出がないときは、納税地の所轄税務署長は、当該申告書に記載すべきであつた所得金額、所得税の額その他の事項につき国税通則法第二十四条又は第二十六条の規定による更正を行う。

11 第三十三条の五第三項の規定は、第九項の規定による修正申告書及び前項の更正について準用する。この場合において、同条第三項第一号及び第二号中「第一項に規定する提出期限」とあるのは「第三十五条第九項に規定する提出期限」と、同号中「第三十三条の五第一項」とあるのは「第三十五条第九項」と読み替えるものとする。

12 第一項の規定は、その適用を受けようとする者の同項に規定する資産の譲渡をした日の属する年分の確定申告書に、同項の規定の適用を受けようとする旨その他の財務省令で定める事項の記載があり、かつ、当該譲渡による譲渡所得の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。

13 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載若しくは添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出又は記載若しくは添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。

14 第五項から前項までに定めるもののほか、適用前譲渡及び適用後譲渡の対価の額の算定の方法その他第一項から第四項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

所得税の手続きについて

所得税の確定申告書を提出する必要があります。

令和6年分の所得税の確定申告書は、翌年(令和7年)の2、3月頃の確定申告の時期に提出することとなります。

住民税について

住民税でも「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡したときの特例」が適用できない

住民税の課税についても、「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡したときの特例」が適用できる場合には、長期譲渡所得の額を算出するうえで、最大3,000万円まで差し引くことができたのですが、今回の設例では、前述したとおり、この特例が使えません。

住民税の計算

住民税においても、長期譲渡所得金額は所得税と同様に400万円となります。

住民税の税率については、所有期間が5年を超える土地ですので、5%となります。
よって、住民税の計算は以下のとおりです。

400万円(長期譲渡所得金額)×5%=20万円

住民税の手続き

土地の売却(譲渡所得)について忘れずに所得税の確定申告を行えば、住民税は申告不要(市役所等で把握されて自動的に課税される)ですので、特に手続きはありません。

不動産取得税について

相続によって取得した不動産には、不動産取得税はかかりません。

 不動産取得税は、不動産の取引に注目し、土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得(相続などの場合は除く。)した際に、取得した方に対して課される税金です。

総務省|地方税制度|不動産取得税 (soumu.go.jp)

相続による不動産の取得は、相続人の意思によるものではないため、非課税とされています。

なお、今回の事例では当てはまりませんが、

  • 死因贈与(遺贈は非課税)
  • 相続人以外への特定遺贈(財産を特定した遺贈のこと。包括遺贈の場合は非課税です。)

の場合は、非課税となりません。

※この記事は慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも一切責任を負いません。

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