事業所の健康保険の加入義務について解説

健康保険事業所の加入義務 社会保険
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健康保険について、どのような事業所に健康保険の加入義務があるのかについて解説します。

健康保険の加入義務には、事業所の側の加入義務と、被用者側(従業員)の加入義務があり、その2つを分けて理解することがポイントです。

今回の記事では、事業所の側の加入義務について解説します。

国保・健康保険の種類

そもそも、国保や健康保険など、どれだけの種類があるのかを把握するために、下表をご覧下さい。

保険の種類保険者対象者
国民健康保険市町村など個人事業主など
国民健康保険組合特定の業種・地域の個人事業主
健康保険全国健康保険協会中小企業の会社員など
健康保険組合大企業の会社員など
共済共済組合公務員など
後期高齢者医療制度後期高齢者医療広域連合75歳以上の方

国保、健康保険、共済組合など、いろいろ種類があります。

今回の記事では、この内、健康保険事業所側の加入義務について解説します。

事業所が「適用事業所」に該当するかどうか

健康保険について、どのような会社が適用事業所に該当するのか解説します。

適用事業所には、
強制適用事業所と
任意適用事業所
があります。

強制適用事業所か任意適用事業所に該当した場合は、その法人や個人事業者は健康保険に加入する義務があります。

強制適用事業所は、
法人の事業所と
個人事業者の適用業種の事業所
に分かれます

法人の事業所は全て強制適用事業所に該当しますが、個人の事業所は全てが強制適用事業所に該当するわけではなく、
強制適用事業所に該当しなかった場合でも、任意適用事業所に該当する場合があります。

上記の説明は、あくまで、事業所側が健康保険に加入するかどうかの話であり、被用者(従業員等)が健康保険に加入するかどうかはまた別の話です。

被用者(従業員等)目線の説明についてはまた別記事で解説します。

強制適用事業所に該当するかどうか

強制適用事業所に該当した場合には、事業主や従業員などの意思に関わらず、必ず適用事業所となります。

つまり、その事業所は健康保険に加入することとなります。

強制適用事業所になる事業所
  • 法人の事業所であって、常時従業員を(1人でも)使用するもの
  • 個人経営である適用業種の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの

① 法人の事業所であって、常時従業員を(1人でも)使用するもの

法人の事業所は、常時1人でも従業員を使用していれば、強制適用事業所となります。

ここで言う従業員には、法人の代表者(社長)も含まれるため、社長1人のみ(従業員無し)の法人でも、強制適用事業所となります。

ですので、法人の場合は、強制適用事業所に該当するということです。

② 個人経営である適用業種の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの

以下の2つの条件を全て満たしている個人経営の事業所は、強制適用事業所となります。

強制適用事業所となる個人経営の事業者の条件
(❶❷を両方とも満たすこと)
  1. 適用業種の事業所であること
  2. 常時5人以上の従業員を使用するもの

❶適用業種の事業所であること

適用業種とは、「法令で決められた16業種」のことで、この16業種に該当する場合は、適用業種の事業所となります。

「法令で決められた16業種」はざっくり、以下のとおりです。が、それよりもまず、適用業種以外の業種を確認した方が良いでしょう。

法令で決められた16業種(適用業種)
  • 製造業
  • 土木建築業
  • 鉱業
  • 電気・ガス業
  • 運送・運輸業
  • 貨物積み下ろし業
  • 焼却・清掃・屠殺業
  • 物品販売業
  • 金融保険業
  • 保管賃貸業
  • 媒介周旋業
  • 集金・案内・広告業
  • 教育・研究・調査業
  • 医療事業
  • 通信報道事業
  • 社会福祉事業・更生保護事業

適用業種以外の業種(非適用業種)は以下のとおりです。

適用業種以外の業種(非適用業種)
  • 農林水産業
  • 一部のサービス業(飲食店、旅館、理容・美容業等)
  • 自由業(税理士、社労士等)
  • 宗教業(寺院・神社・教会等)

上記の非適用業種(法令で決められた16業種以外)に該当した場合、次に解説する、「❸常時5人以上の従業員を使用」していたとしても、強制適用事業所となりません。

逆を言えば、適用業種(法令で決められた16業種)に該当すれば、従業員が常時5人以上いるなら強制適用事業所となります。

❷常時5人以上の従業員を使用するもの

「常時5人」というのは、事業所の従業員すべての人を数えます。

そのため、

  • 週20時間未満で勤務しているパート従業員
  • 75歳以上で後期高齢者医療制度に加入している従業員

などのように、健康保険の被保険者となることができない従業員(適用除外者)も「常時5人」に含めて数えなければいけません。

そのため、被保険者となる従業員だけでは5人に満たなくても、
適用除外者と被保険者となる従業員の合計が5人以上であれば、
「❷常時5人以上の従業員を使用する」事業所となり、
さらに、「❶適用業種の事業所である」ならば、強制適用事業所となります。

従業員5人未満が一時的な場合

従業員の退職などで、一時的に従業員数が5人未満となる場合でも、その事業の状況などから、5人未満の状態が一時的なものであると認められる場合は、「常時5人以上」であるとされます。

個人事業(個人経営)の場合についてまとめると下図のようになります。

※ 上図について、任意適用事業所はあくまで「任意」ですので、以下で説明する条件がそろった時だけ「任意適用事業所」となります。つまり、事業主と従業員が希望しなければ、健康保険の加入義務はありません。

任意適用事業所になるには

強制適用事業所に該当しない場合でも、任意適用事業所として健康保険に加入することができます。

例えば、個人事業主で「非適用業種」の場合は、強制適用事業所に該当しないため、健康保険への加入義務はありませんが、下記の一定の条件を満たした上で申請すれば、任意適用事業所となることができ、健康保険に加入することができます。

任意適用事業所となるための条件
(❶❷❸を全て満たすこと)
  1. 事業所に使用される者(被保険者となるべき者に限る)2分の1以上の同意
  2. 事業主が認可の申請をすること
  3. 厚生労働大臣の認可を受けること

❶被保険者となるべき者の2分の1以上の同意

任意適用事業所になるためには、「被保険者となるべき従業員」の2分の1以上の同意を得ることが必要です。
全従業員ではなく、あくまで「被保険者となるべき従業員」(同意対象者)の2分の1以上であることがポイントです。

「被保険者となるべき従業員」とは、従業員数が常時5人未満の個人事業主の場合、正社員「4分の3基準」を満たす短時間労働者のことをいいます。ただし、75歳未満の方は除きます

「4分の3基準」
(❶と❷の両方を満たすこと)
  1. 1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上
  2. 1か月間の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上
健康保険法 第3条第1項第9号

一週間の所定労働時間及び1か月間の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3であること

健康保険法 第三十一条(適用事業所)

 適用事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所とすることができる。

 前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者となるべき者に限る。)二分の一以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

❷事業主が認可の申請をすること

任意適用事業所になるためには、事業主が「任意適用申請書」を「事業所の所在地を管轄する年金事務所」に提出する必要があります。申請の提出方法は、電子申請・郵送・窓口持参が可能です。

任意適用申請書に添付が必要なもの

任意適用申請書には以下の通り、添付が必要な書類がいくつかあります。

任意適用申請書に添付が必要な書類
  1. 任意適用申請同意書(従業員の2分の1以上の同意を得たことを証する書類)
  2. 事業主世帯全員の住民票(コピー不可
  3. 公租公課の領収書(原則1年分)(コピー可)
❶ 任意適用申請同意書

任意適用申請書には、「任意適用申請同意書」の添付が必要です。
任意適用申請同意書」は簡単に説明すると、「被保険者となるべき従業員」の2分の1以上の署名を集めた書類です。
同意する者の氏名生年月日住所を従業員に記載してもらいます。

❷ 事業主世帯全員の住民票

事業主世帯全員の住民票は、コピー不可です。
また、直近の状態を確認するため、任意適用申請書の提出日からさかのぼって90日以内に発行されたものを提出する必要があります。

事業所の所在地が個人事業主の住民票の住所と異なる場合は、「賃貸借契約書のコピー」など、事業所所在地の確認できるものも添付する必要があります。

❸ 公租公課の領収書

公租公課の領収書とは、所得税事業税市町村民税国民年金保険料国民健康保険料の領収書のことで、原則1年分の提出が必要です。
また、こちらは住民票とは違い、コピーでも大丈夫です。

しかし、領収書の代わりに、未納がないことを確認できる公的な証明書を添付する場合は、原本での提出が必要となります。

電子申請での提出の場合は、公租公課の領収書(原則1年分)は、画像ファイルによる添付データ(JPEG形式)で提出が可能です。

その他の注意点

保険料を口座振替により納付したい場合は、「健康保険厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書」を添付書類と合わせて提出が必要です。

❸厚生労働大臣の認可を受けること

申請後、認可がされると、健康保険の保険証が事業所に届きます。

申請から、健康保険証が届くまでの期間は、大体1か月程度だと思います。

任意適用事業所の取り消しをするには

任意適用事業所でなくすためには、任意適用事業所になるときよりも厳しい基準が設定されています。

❶被保険者となるべき者の4分の3以上の同意

任意適用事業所でなくすためには、従業員(被保険者)の4分の3以上が適用事業所でなくなることに同意をする必要があります。

任意適用事業所になるときには2分の1以上の同意でよいので、取消の場合の方が要件が厳しいことが分かります。

健康保険法 第三十三条

 第三十一条第一項の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる

 前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)四分の三以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

❷事業主が認可の申請をすること

任意適用事業所が、任意適用の取消を申請する場合に提出する届出は、
任意適用取消申請書」です。

任意適用取消申請書と同時に提出が必要な書類

また、任意適用取消申請書と同時に提出が必要な書類が以下の通り、いくつかあります。

任意適用取消申請書と同時に提出が必要な書類
  1. 任意適用取消申請同意書(被保険者の4分の3以上の同意を得たことを証する書類)
  2. 被保険者資格喪失届
❶任意適用取消申請同意書

任意適用取消申請書には、「任意適用取消申請同意書」の添付が必要です。
これは、簡単に説明すると、被保険者の4分の3以上の同意を得たことを証する書類です。

❷被保険者資格喪失届

任意適用の取消が認可されると、取消に同意しなかった従業員も含めて、すべての被保険者が被保険者資格を喪失することになります。
そのため、任意適用取消申請書を提出するときは、合わせて被保険者資格喪失届の提出も必要です。

まとめ

今回の記事では、健康保険の事業所側の加入義務について解説しました。

加入義務のある事業所には、強制適用事業所と任意適用事業所があり、法人は全て強制適用事業所です。

個人事業主の中には、強制適用事業所に該当する場合と該当しない場合があり、強制適用事業所に該当しない場合でも、事業主と従業員が希望すれば、任意適用事業所として健康保険に加入できます。

また、いったん任意適用事業所になった後に、任意適用事業所でなくすためには、任意適用事業所になるときよりも厳しい要件が設定されています。

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